調性
- 2008.05.31
- Category:日記
チェコ人の亡命作家ミラン・クンデラは父親が音楽家だったためか、彼の著作には音楽に関する言及が多い。
彼の小節「笑いと忘却の書」(西永良成:訳 集英社)には作家が5歳のときに父親が語ってくれたという調性の話が出てくる。
(ハ長調、イ短調など、)調性はそれぞれ小さな宮殿であり、そこでは権力は王(第一度の音)によって行使される。王は二人の代理官(第五度と第四度の音)に付き添われている。彼らは配下に他の四人の高官を従えており、それぞれの高官は王それに王の代理官と特別な関係を保っている。そのうえ、この宮殿には半音階と呼ばれる五つの別の音が収容されている。それらの音は別の調性のなかではたしかに前面の場所を占めることもあるが、ここでは客としているだけだ。
これほどオクターヴ内の十二音と調性のことをうまく説明した文章にぼくはいまだにお目にかかったことがない。十二音は調設定された瞬間にそれぞれに役割を持つようになる。まるでおとぎ話のようではないか!クンデラは音の階級制とそれを取っ払った(シェーンベルグの)十二音技法をみずからの故国の状況、筋書きの中にメタファーとして潜り込ませている。そう。音階には階級がある。さんざん使い古された王国なんだがまだまだおもしろい物語が出てくるのよねん。もうちと付き合おうやないの。








